社会人になって自分が願うとおりのキャリアを歩むことが出来る人は、そう多くはないかもしれません。当初は理想や希望に燃えて仕事に励んでいても、失望や挫折を繰り返すうちにいつの間にか夢も希望も考える余裕をなくしてしまうのかもしれません。最近は終身雇用制が崩れて、サラリーマンであってもいつ会社をクビになるか、いつ会社が倒産するかと、不安を感じることなく生活することが難しい世の中です。
しかしそのような中で仕事にやりがいを感じようと思えば、心底自分が何をしたいのか、という点をゆるがせにするわけには行かないでしょう。夢を実現するためには、はっきりと具体的にイメージすることです。漠然とした夢や希望を持つことは、確かに一時的には気が紛れますが、多くの場合にはそれっきりで結局何も変わらないまま時間が過ぎてしまいます。「キャリアアップ」という言葉があちこちから聞こえますが、それも言葉の響きに惑わされるだけで具体的な道筋を見つけておかなければ、絵に描いた餅に他ならないのです。
ここでプログラマが将来のキャリアアップを思い描くという場合、成長する先として大きく四つの方向性が考えられます。
一つ目はプログラマのスキルと経験を更に深く高度に培うことで、他の追随を許さないスペシャリストを目指すというものです。具体的にはプログラミング技術者認定試験に合格したり、プログラミング言語を複数マスターするといった形で成長することです。
二つ目はプログラミング言語の知識に加えて、OSの知識や、データベースの知識や、クライアントの業務知識を増やしながら、徐々にクライアントとの打ち合わせを含む基本設計や構築を担当することが出来るシステムエンジニアを目指すというものです。具体的には基本情報技術者試験やソフトウェア開発技術者試験に合格したり、一つ一つの分野の知識をスケジュールを組んで深めて行くといった形で成長することです。またクライアントに最適な提案をすることが出来るためには、それらを適宜組み合わせて柔軟に対応することが出来るようになる必要があり、また提案を分かりやすく説明して納得を得られるような高いコミュニケーション能力も求められます。
そして三つ目は同じく周辺のOSやデータベースや業務に関する知識をある程度身に付けながら、全体を統括するプロジェクトマネージャを目指すというものです。あくまで全体を俯瞰して管理する立場であり、進捗管理やリスク管理を身に付けたり、クライアントとの交渉やチーム内の橋渡し役や調整役として成長することです。
最後に四つ目はむしろ幅広い業務知識を習得して、クライアントの問題解決に役立つようなITコンサルタントを目指すというものです。クライアントに対するプレゼンテーション能力を磨き、ビジネス環境を分析したり事業視点で考えられなければなりません。